床屋へ行く
夕べから足が痛くて困っていた。痛む場所は右足の内側、親指の付け根からくるぶしが盛り上がりはじめるところで、こんなところが痛いなんて初めてのことだ。まったく、人生はちょっとの幸福とたくさんの苦痛から成り立つ。私の足の痛みは不思議なもので痛み出してから24時間経つと治まってくる。つまり、痛い痛いと騒ぎながら24時間やりすごせば良いということになる。痛み出したのが昨夜の20時ごろだったので今はだいたい平常に戻っている。
きょうは16時ごろになって、痛みが少し和らいだので床屋さんへ行ってきた。暮れにきて平日の夕方だから床屋さんには誰もいず、奥さんが床を掃除していて息子さんが客の待機用ソファに座って、秘密のケンミンショーの再放送を見ていた。仕事をするのは息子さんの方で、奥さんはお喋りの相手をしてくれた。「息子さんは元気? 二人だったよね、たしか」「元気だよ、おれも孫が三人だよ」というような話。孫の人数の話はこの前のときもしたのに忘れている。思えばこの床屋さんへ行くようになって30年近くになる。奥さんはそのころすでに40歳を過ぎた年頃だったからもう70代になっているのかも知れない。私の髪の薄い部分をどうやってカムフラージュするか考えている息子さんはまだ小学生だった。顔を剃る時、足の痛みが出てきたので何度もストップをかけたが、彼は嫌な顔をせず。むしろ私を労るような表情をしている。親父さんの後を継いで立派な田舎の床屋さんになった。
帰り、コメリに寄ってパイプクリーナーを買った。2階のトイレの水の流れが悪いのである。例の、棒の先にお椀を逆さに付けたような道具でペコペコやってみたのだが、はかばかしくないので薬剤を使ってみることにしたのだが、1回やってみた限りでは効かなかった。うちにはトイレが三つあるので特に緊急事態というわけではないが、ふだん2階に蟄居している身としては不便だ。
週刊誌はすでに年を越した。きょう届いた『週刊朝日』は1月1日と8日の合併号である。「新春ビッグ対談」と称するのは、五木寛之と姜尚中。この二人の対談が明るく景気のいいものと思う人は少ないだろう。トップの記事は「小沢一郎の作法と流儀」というものであって、この記事を読めば誰でも小沢に好感を持つように書かれている。そういえば、各社の世論調査で鳩山政権の支持率が50%割れをしたことが話題になっている。国民ももう少し気長に見るべきだし、もともと自民党の議員だった人々が多数を占める政権に鮮やかな変革を望んではならない。鳩山政権のここまでの功績は政治の話題がワイドショーの中心になる世の中にしたことで、いまのところ十分評価できると思う。
巻頭グラビアは「全国お雑煮めぐり」。おおむね名古屋と金沢を結ぶ線の北は「すまし汁角餅文化圏」、南側は「みそ仕立て丸餅文化圏」「小豆汁丸餅文化圏」「すまし汁丸餅折衷文化圏」がある。ちなみに北海道と沖縄は明治以降に移住した人がお雑煮を持ち込んだから、区別できないそうだ。私は角餅を焼いてすまし汁派だが、山梨県全体では煮込んで、汁だか溶けた餅だか判らないようなものを良しとする派が多い。
ゆうべ眠れなかったから今夜は自然に熟睡できるかと思ったら全然眠くならない。ペットボトル式加湿器から立ち上る、微細な湯気をぼうっと眺めたりしている。

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